『シリーズ日建商事 雑感』 その4
鹿島建設の現場主任以下数名が、天童市に出来るパイオニア第1期工事にも着手していたのだが、
その後電話をもらうまではわからなかった。
電話の内容はこうである。第一声は「全国あちこち探してもないのだから無理だろうな。」であった。
日建商事に対しては、まだまだ頼りに出来ず信用していなかったのだろうが、
先方も困り果てて電話してきたのだろう。
建物はS造で屋根はシポレックスだという。
鹿島「シポレックスは知っているか?」
「知っている」というと「ほう…」と感心された。
その材料は出たばかりで、まだまだ使用しているところは稀であり、
まして山形県では使用実績のない初めて見るものであった。
コンクリートといっても水に浮く非常に軽く柔らかいもので、
それに使用するアンカーはまだ出来ていなかったのである。
聞けば軒天に雨樋を吊り下げる為のアンカーを探しているのだそうだ。
以前から私も開発が嫌いな方ではなかったのでオールアンカーと
全く同じ物を図面に描きそのままにしていたら、ある時小さなアンカーの広告が出た。
「同じじゃないか」と思ってカタログ1部を取り寄せていて知っていた。
鹿島にはシポレックスに取り付けるアンカーがあると答えたら、驚いていた。
早速カタログが要求され1部しかないものを持参して現場事務所へ行った。
この当時のオールアンカーは開きの大きいBタイプで柔らかいブロック用に作られていた。
鹿島いわく「これで責任施工せよ。明後日から。」と言う。
私はアンカーの実物も見ていないし何よりも現物があるかどうか。また送ってくれるかどうか。
電話1本入れたことのない会社だったので、非常に困惑したが、
すぐ電話を入れ「明日まで2,000本送ってくれ」と必死の思いで訴えた。
電話の相手は当時営業部長の洞下氏であり、現社長の父親(前社長)である。
(続く)
更新日:2014.5.20