『シリーズ日建商事 雑感』 その14
「先発の同僚が2人程いるから我慢して同室でもよければ」とのことである。
雪を掻き分け駅近くの小さな旅館へ着いた。彼らは定宿にしているようだった。
同行した彼の到着を女将がまだ待っていた。仲間も皆起きて待っていた。
二人とも真っ白になった姿で旅館へ入ったら、
「まあまあ大変だったなあ。」「早く上がって温まれ。」と迎えられ、
仲間の部屋に。見たら6畳に3人、そして彼。これでは寝るのは無理である。
そこで女将は二十歳くらいの娘を自分の部屋に移動させ、その部屋を空けてくれた。
大至急ストーブに火を入れた。
「寒かったろう。八戸は初めてかい。すぐ熱燗持って来るから。」
間もなく徳利4本とありあわせの夜食を用意して持って来てくれた。
女将と娘と私の3人で遅くも温かい晩酌となった。
その間の話の中で「八戸に来たら、ここへ泊んなされ。
港の方へは飲みに行くな。危ないから。」と土地の事情を話してくれた。
もう2時半を過ぎていた。床に入ったらぐっすりであったが、何と親切な女将だろうと思った。
松下の方の親切やこの女将の優しさは、生涯忘れる事は出来ない。
( 続 く )
更新日:2014.6.25